斎場から火葬場までは、車で10分程度。
ずっと、母の遺影と一緒に、車の外の景色を見てました。
天候には恵まれて快晴でしたが、
気持ちは、天気と同じように晴れやかになれずにいました。
道端に植えられた花、楽しそうにドライブに向かう一家。
道を急ぐ人達。世の中は、このちっぽけな一家の悲しみなんて、
何もないかのように、いつも通りに動いています。
そんな世の中に、母も66年生きていました。
地方から出て来て、働き、結婚して、子育てをし、誰にも頼らず必死に生きてきました。
母の人生は一言でいうと、「忍」だったと思います。
ひたすら耐えに耐えていた。今の時代に、何とも損な生き方だったことでしょう。
もっと頼ってもいいし、もっと自己主張したっていい。
我慢するだけが人生じゃない。
これまでの損を取り戻してほしい。
そんな思いから、要介護になった母を見て来ました。
母は、そんな過去から決別出来て、少しは自分らしく生きてこれたんだろうか。
そんな事を思ってると、車は火葬場に到着しました。
スタッフの方から、棺、位牌、遺影、親族の順に入るよう促され、
指定の火葬炉の前まで移動しました。
何かしらの説明をされてましたが、正直覚えてません。
もう、母という姿すら、目にする事が出来ない。
この事が、余りにもショックで、ショックで耐えられませんでした。
一通り説明が終わった後、
では、お預かりさせて頂きます。
その言葉に、自分は頭が真っ白になりました。
横に居た祖母は、泣き叫んでました。
○○(母の通称)、どうしてババアより先に行くの。
○○、どこに行くの。。。
大きなステンレス製の扉が自動で開き、その中に棺が納められて行きます。
自分は、声すら出ませんでした。棺が所定の場所に納められ、
その扉が閉まっていく中を合掌で見送りました。
この後は上の待合室で。。。
それ以上は、何も耳には入ってきませんでした。
待合室では飲食を楽しみました。
気丈におしゃべりして、和ませてくれてる祖母。
申し訳なかったのですが、自分はなかなかそんな気分にはなれませんでした。
食事も喉を通らず、ビールも全くおいしく感じませんでした。
ですが、落ち込んでる暇はなく、お酌して回るうちに少しづつ、
会話にも参加する事ができ、食欲も少しだけ出てきました。
1時間半~2時間程度で、お呼びがかかり、
喪主の父、自分と祖母の3名で、直接お骨の確認、
その他の人はガラス越しに様子を見るよう言われました。
こちらです。
と出されたその姿。。。
当たり前ですが、骨しか残ってません。
もっとしっかり標本のような形をしてるのかと思いきや、
そこまで残ってませんでした。一応体の形になってるようですが、
もう、それは母なのか、全く判別できない別の存在かのようでした。
こんな姿に。。。
スタッフの方は、体の部分を説明していましたが、
やはり右足は壊疽の影響か、足首からつま先までの骨が全く残ってませんでした。
そして、お骨を骨壺に入れ、残ったお骨は、
火葬場のスタッフの方が、説明しながら納めて下さいました。
かなり、しっかりしたお骨で、とてもキレイです。
これが喉仏です、きれいな形をされてます。
骨の量もとても多くて立派です。
そんな事を言ってました。
確かに母のお骨は、骨壺一杯になりそうな程の量でした。
病気さえなければ、まだまだ元気だったはずの母。
でも、もうその姿すら想像できない形になり、
骨壺に納まってしまう位に小さくなってしまいました。
一通り終わり、骨壺は重いので若い自分が持ち、父は位牌、
祖母が遺影を持って、告別式の行われた斎場へ戻り、その後はそこで解散しました。
自宅につき、お骨を所定の場所へ安置して。
やっと帰れたね、おかえり。
そう声をかけてあげました。
母の介護生活は終了しました。
入退院等もあったりしたので、母の不在に寂しさは感じません。
それは病院に行けば会えたからです。
ですが、今回は母がもうこの世には存在していない事になり、
こればかりは、今でも寂しく感じます。
事あるごとに母のお骨の前で、あれこれ話しかけては、悲しむ事もあります。
でも、生きてる、生かされてる以上は、母の分まで精一杯生きていくつもりです。
いつまでも泣いていないで前に進みなさい。そんな母の声が聞こえて来そうです。
自分が最後に母に送った花、ガーベラの花言葉って「常に前進」だったんですね。
オレンジ色のガーベラでは「我慢強さ」と、皮肉にも自分に必要なことばかり。
母が旅立って一週間。今はお墓を探したり、
父がやはり仏壇だの戒名だの言い出してますので、
それに向けて色々と動いております。
そして、最大の難関である、社会復帰。
これが出来なきゃ母はゆっくり見守る事も出来ないでしょう。
今はとりあえず、キャリアの棚卸と求人のチェック等をしてます。
正直、まだ身軽に動ける状態ではないですが、それでも立ち止まらず進んでます。
温かく見守ってくださるとうれしいです。
介護は終わりましたが、お墓の進捗等もあるので、ブログは更新していきます。
当初は不満や愚痴等、はけ口にしてましたが、今では少し恥ずかしい気もします。
でも、これは全て本音であり、ありのまま、思ったままを綴ってきました。
今後共、お付き合いの程、よろしくお願いします。
おかえりなさい。ゆっくり休んでな。 |
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